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現在進行形で策定中のガイドラインに
今後も注視が必要です。

医療機関のネット利用の規制が2018年に大きな変化を迎えます。
これまでは規制の緩かった部分に対しても、より厳しい規制と罰則が加わるようになり
今までは問題の無く使っていた医院紹介のホームページも見直す必要が出てきます。

変化を迎える医療ホームページ規制

昔に作ったままのホームページ、情報更新せず放置していませんか?

  • サイトを作った頃から医師や看護師が減った 医療機器や施設が変わったが情報更新していない
  • 地域で一番看護師が多いです、などと他と比べている
  • ビフォーアフターの写真や元気に回復したかのようなイラストがある
  • 患者の体験談を掲載している

このようなチェックポイントに心当たりのある医療関係のサイトをお持ちの方は要注意です。
また、これから新たに医療関係のサイトを作ろうという方も、今まで以上に注意深く制作する必要があります。
2017年の医療法の改正によって、今よりも厳しい規制の強化と監視体制の強化の二つの変化が生まれ
今までは規制が緩く許容されていたサイトも、問題視されてしまう恐れがあるからです。

中でも、「サイトに記載した頃から医師や看護師が減った 医療機器や施設が変わった」
に心当たりの方は要注意です。
当然のことではありますが、患者を騙そうという意図がなくても、
いつの間にかサイトの情報と実情が大きく離れてしまっていたせいで、
「誇大広告」とみなされてしまい、規制に引っかかる恐れがあります。
他のチェックポイントに関しては、後の項目(現状のガイドラインについて)で詳しく説明します。

規制強化の主な目的は、誇大医療広告の阻止

脚色したビフォーアフターの写真であったり、芸能人が「私もきれいになりました!」と勧めていたり、
あるいは「格安キャンペーン!」「絶対に安全です。」などの宣伝文句を使ったりと
商売っ気の強く、都合よく偏った情報で患者を煽るような美容医療の広告を見て、
やり過ぎでは…と思ったことはありませんか?
近年の美容医療の過剰な広告サイトによるトラブルが増加していることを受け
誇大広告、虚偽の広告を阻止するべく、医療機関のネット利用の規制が強まることとなりました。

美容医療業界が発端ではありますが、そこに限定するとなると自由診療等との線引きも困難となるため
医療機関のサイトの規制は全体的に厳しくなることになります。

患者への情報提供の機会を広げるために、これまでは医療機関のサイトの半分(医療広告と医療機関ホームページの違い参照)には緩い規制という方針がとられていましたが、そうも言っていられなくなった結果が2017年の改正です。
真面目に情報提供をしてきたつもりの医師の方には、とばっちりともいえる規制ではありますが
新たな基準の合わせたサイト作りが必要になってきます。

医療法改正で広告規制が強化へ

現在は費用を払って積極的に患者を誘導する「医療広告」にあたるサイトにのみ禁止事項や罰則が規定されていますが
「××医院のホームページ」のような広告色のない「医療機関のウェブサイト等についても、虚偽・誇大等の不適切な表示を禁止し、中止・是正命令及び罰則を課すことができるよう措置(引用⇒http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000171628.pdf)」
されることとなります。
具体的な規制内容は現在進行形ですすんでいる議論次第となりますが、基本的な方針としてこれまで以上に規制や罰則が厳しくなるのは確かですので、既存のサイトの見直しが求められます。
新しい情報が入り次第、随時お知らせいたします。

2017夏からネットパトロールが開始

医療機関サイトの規制強化の一環として、2017年の夏から「医療機関ネットパトロール」が厚生労働省により開始されました。
「うそ、大げさ」をはじめとするガイドライン違反の疑いのあるサイトを見つけるため、委託法人(日本消費者協会)による情報収集、監視が行われます。
違反が見つかった場合は、まず自主的な見直しを促され、それでも改善が見られない場合は行政による対応が取られ、更に改善がしっかりと成されたかどうか追跡調査までが行われることとなります。
同時に一般の方からも、違反らしきサイトを見かけた時の情報提供を呼びかけており、上記のリンクを見てもわかる通りネットや電話から簡単に通報ができる仕組みになっています。
医療機関サイトへの監視の目は今後より一層厳しくなることとなり、これまで以上に注意深く制作する必要があります。

医療広告と医療機関ホームページの違い

ここからは現状の医療機関サイトへの規制の説明となります。
現在、医療機関がネット上に作るサイトは「医療広告」と「医療機関ホームページ」に大別されており
前者は医療機関の看板広告やTVCM等と同じく広告として厳しい規制と罰則があります。
後者は患者さんへの情報提供として緩くて自主的な規制を求められるものです。

医療広告は費用を払って呼び込むサイト

バナー広告や検索キーワード広告を利用し、費用を払って患者さんを誘引してくるようなサイトが
「医療広告」と扱われます。

これらは看板や電車の広告、新聞折り込みチラシ等と同じく
患者さんの意思や興味に関係なく目に入ってくるものであり
広告として医療法による厳しい規制の対象となります。

医療広告の定義は
誘引性 患者の受診等を誘引する意図があること
特定性 医師名、医院名が特定可能であること
認知性 一般人が認知できる状態にあること
の三つをすべて満たしている場合とされています。(医療広告ガイドライン)

医療機関ホームページは「××病院のホームページ」

「〇〇医院のホームページ」「アレルギー性鼻炎の情報紹介ページ」のようなサイトは、三つの要件のうち認知性が無いため広告に該当しません。
広告で呼び込まれるものでなく、検索したりURLを打ち込んだりと、自分の操作で探し当ててアクセスするものだからです。
患者さんにとって有益な情報提供の場を増やすためにも、こちらは「医療機関ホームページ」として自主規制に任せられており、逸脱しても行政指導といった様に緩い規制にとどまっていました。
今回の改正では、自主規制や行政指導といった緩い規制に医療機関ホームページに対し
特に誇大広告について医療広告に準ずる、より厳しい規制を行うこととなります。

医療広告と医療機関ホームページ、それぞれのガイドライン

厳しい規制の医療広告ガイドライン

患者さんを誘引してその気にさせる、医療広告に対してはネットに限らず厳しい規制がかけられています。

医療広告の規制を時系列で説明しますと、まず原則として医療広告は禁止、
ただし特別に挙げられた項目だけは許されるという
ポジティブリスト方式がまず採用されました。
その後、提供できる情報をふやすためリストの内容に幅をもたせた「包括規定方式」になり、さらに禁止事項も列挙したネガティブリストも同時に作られたのが現状です。
このような経緯によって、解釈に幅のある「表示していいこと」と「表示してはいけないこと」が同時に存在し
とてもややこしい規制方式になっています。

医療広告ガイドラインとして示されているそれぞれの代表的な事項は

【表示していいこと】

  • 病院・医院名、医師名、診療科名、所在地や連絡先といった情報
  • 管理運営について
    例:休日や夜間診療、セカンドオピニオンの実施、待ち時間や院内感染への取り組みなど
  • 医療の内容に関する事項 治療方法や方針
  • 法令によって指定された医療機関であること
    例:保険医療機関、母体保護法指定医、特定感染症指定医療機関
  • 設備や人員について
    例:入院設備や病床数、ICUやCTの有無、バリアフリーへの配慮、従業者の人数
  • 医師や看護師、薬剤師等の経歴
    例:出身校や学会認定の専門医

【表示してはいけないこと】

比較、誇大、客観的でない、公序良俗違反に該当するような表現は特に禁止事項として明記されているので、絶対に避けなければいけません。
具体的には

  • 「地域一番の看護師数」は他と比較をし優位性を示す表現として違反、「絶対安全な手術をします!」という誇大な表現や「高度な技術」といった客観的でない表現は、禁止されています。
  • 「術後生存率」や「患者の体験談」は患者それぞれの状態による影響が大きく、効果を誤認させ適切でない判断材料となるため禁止です。
  • URLをgankieru.ne.jp(癌消える) とする小手先のテクニックのようなやり方も、広告を許可されていない治療の効果や保障を暗示する広告であり不適切です。

以上が代表的な規制事項です。すべてを列挙するにはあまりにも細かい規定ですので、詳しくはお問合せください。

医療広告への規制に違反してしまったとなると、通常は中止や是正を指導・命令されますが、悪質で最悪の場合として罰則であったり、公表による患者への注意喚起といった措置が定められています。

なぜ医療広告は厳しく規制されるのでしょうか? 医療は専門性が高く、患者が実際の質を判断することが困難であり、不適当だった場合の被害も生命身体に関わる大きなものであることから、他の業界よりも遥かに厳しい規制が制定されています。 裏を返せば、専門家として患者さんの誤認をまねくことをしない、正確な情報提供、真摯な情報提供が求められている、ということです。 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kokokukisei/dl/shishin.pdf

緩い規制の医療ホームページガイドライン

【ホームページで掲載すべきではないこと】

  • 医療広告ガイドラインと同様に比較、誇大、客観的でない事柄は掲載すべきではありません。
  • 科学的根拠に乏しいにもかかわらずリスクを特別に強調して、患者の選択を誘導することも適切でありません。
  • 期間限定50%OFFや治療し放題プラン等、費用を過度に誇張することも禁止されています。

【掲載すべき内容(自由診療の場合、リスク等)】

自由診療を行っている場合は、最低限の費用だけを都合よく表示して、実際よりは安いと誤解させることを防ぐため
平均的な費用や日数・回数を明記すべき、とされています。
また、自由診療はメリットだけを示すのではなく、リスクや副作用に関しても同時に情報提供が求められています。    

一見すると、医療広告ガイドラインと同じような規制にも思えますが、こちらはあくまでも自主的な規制を呼びかけるものであり、逸脱した見過ごせないページであったとしても、行政指導によって是正を促されるにとどまり、罰則も規定されていません。

このような緩く自主的な規制に留まっていた医療ホームページに対しても、規制と監視が厳しくなるのが今回の改正の注意点です。 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002kr43-att/2r9852000002kr5t.pdf

重要なのは「客観的で正確な情報提供」

以上が現状のガイドラインとなっていますが、入り組んだ規制となっており詳細な内容は書ききれません。
また現在進行形で新たなガイドラインの議論が進んでいますので
細かい内容に関しては、ご相談・お問合せ下さい。新たな情報もまとまり次第、更新いたします。
基本的な考え方として、客観的で正確な情報提供を行い、患者の誤認を避けるよう心掛けることが重要です。